Meta色が強まった今、Outlierから案件はどこに動くのか?

Outlierからどこかに向かっていることを示唆する画像

Outlierの仕事はどこに動くのか?──MetaのScale AIへの出資がもたらした変化

AIトレーナーとして副業をしていると、ふと「このタスク、どこがクライアントなんだろう?」と思うことがあります。
最近、RedditでもOutlierの仕事が減ったとの投稿が増え、実感している方もいらっしゃるのではないでしょうか。背景には、GoogleやOpenAIやMetaを巻き込んだ動きがあります。

今回は、「Outlierが請け負っていたMeta以外の仕事は、今後DataAnnotation.Techが担うようになるのではないか?」という仮説について、事実を整理しながら考えてみたいと思います。

1. OutlierはScale AIの子会社

まず、Outlierは「Scale AI」の下で運営されているプラットフォームです。
もともと、Scale AIは大手企業からデータアノテーション業務を請け負い、Outlierなどの子会社を通じて世界中のワーカーに作業を割り振っています。
Outlierはその中でも、AIチャットに関わるRLHF(人間フィードバックによる学習強化)など、高単価かつ高度なタスクも多く扱ってきました。

2. GoogleはScale AIとの契約を打ち切った

そんなOutlierの“クライアント”にあたるのがGoogleでした。
しかし先日、MetaがScale AIの株式の49%を取得したことで、状況が一変します。

Googleはこれに強い危機感を覚え、年間2億ドル規模とも言われる契約を打ち切ったとの報道が出ました。
Outlierを使っていたワーカーの間でも、Reddit等で「タスクが減った」 「急に案件が止まった」という声が上がってきたのは、ちょうどこの頃です。

👉関連記事1:MetaのScale AI資本参加で、AIトレーナーの環境はどうなる?
👉関連記事2:Meta×Scale AI出資に対するRedditの“生の声”を読む:5つの視点

3. GoogleはSurge AIへの乗り換えを検討中

GoogleがScale AIを離れたあと、次の委託先として検討していると報じられているのが「Surge AI」です。
Surge AIは、データの品質をウリにしている会社で、いわば「精鋭型」のデータアノテーションを掲げています。

Reuters(2025年7月1日)によれば、Googleだけでなく、OpenAIも同様にSurge AIを選択肢として検討しているとのことです。
こうした背景から、今後Surge AIには大手テック企業の案件が次々と流れ込んでくる可能性もあります。

4. Surge AIはDataAnnotation.Techを使っている

では、Surge AIが案件をどう処理しているかというと──
実際のアノテーション作業は「DataAnnotation.Tech」という関連会社(あるいは外注先)を通じて進められています。

この点については、 Clarkson Law Firmによる2025年5月の訴訟文書でも明記されています。

文書内では、Surge AI(正式には Surge Labs)が DataAnnotation.Tech を通じてワーカーを募集し、GoogleやOpenAIなどの大手クライアントのプロジェクトを実際に割り振っているとされています。

こうした構造は、Scale AIがOutlierを通じてワーカーにタスクを供給していた仕組みに非常に似ています。

5. OutlierからDataAnnotation.Techへ移管される?

いまのところ、GoogleがOutlierで発注していた業務が、正式にDataAnnotation.Techへ引き継がれたという報道はありません。

ただ、次のような流れは自然に想像できます。

  • GoogleはMeta出資後のScale AI(=Outlier)を避けたい
  • Surge AIはGoogleが検討中の代替先
  • Surge AIはDataAnnotation.Techを作業の窓口として使っている

つまり、Outlierで回っていたようなタスクが、今後はDataAnnotation.Tech上で提供される可能性は十分にある、ということです。

6. まとめ:ワーカーにも影響する構造の変化

こうした変化は、私たちのようなワーカー側にも影響します。
案件の種類や単価、タスクの質が変わる可能性もありますし、どのプラットフォームに力を入れるかを考える材料にもなります。

今回の仮説はまだ「推測」の域を出ませんが、複数の報道や訴訟記録をもとにした“筋の通った仮説”として、知っておいて損はないと思います。

今後、DataAnnotation.Techに新たな高単価タスクが登場し、それがOutlierで以前見かけた気がするなら──それは偶然ではないのかもしれません。

引き続き、業界の動きを見ながら、あなたにとって最適な働き方を模索していきましょう。

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