FIRE後にありがちな3つの後悔|実例で読む“光と影”のリアル
はじめに:FIREを「ゴール」にすると、後悔につながることがある
FIRE(経済的自立と早期リタイア)は、アメリカ発祥のムーブメントとして世界に広まり、多くの人にとって“理想の働き方・生き方”の一つとして語られます。
でも実は、FIREをいち早く実現したアメリカの人々の中には、FIRE後に深い後悔を抱いた人も少なくありません。
自由を手に入れたはずなのに、どうして?
この記事では、ForbesやMarketWatchなど信頼性の高い海外メディアが報じた実例から、FIRE後の生活でよく起きる「後悔」3つを挙げ、それに対して後悔しなかった人たちがどう違ったのかを分析します。
1. よくあるFIRE後の「3つの後悔」
① 退屈感とアイデンティティ喪失
「トップの座を降りたあと、自分が何者か分からなくなった」
— Forbes, 2024-09-08 出典
上場企業のCEOたちが早期退職を選んだものの、
「目的がなくなった」 「日々の緊張感が消えて無気力になった」などの精神的苦痛に直面。
退職後の家庭不和や健康不安も重なり、「もっと段階的に辞めるべきだった」と語ります。
② FIREはしたが、想像以上に孤独で抑うつ状態に
「FIREを手に入れたけど、深い孤独と無目的に襲われた」
— MarketWatch, 2025-01-13 出典
ある整形外科医は45歳でFIRE。
医師として高年収・高負荷の働き方から解放されたものの、退職直後から「自分の存在意義が感じられない」と感じ、
メンタルの不調を訴えるように。
最終的には「FIRE後にやるべきこと」がなかったことが最大の問題だったと振り返ります。
③ 「あと数年働けばよかった」──タイミングと資金設計の悔い
「退職の数年後に気づいた、働き続けていた場合との金額差」
— Forbes, 2019-06-03 出典
退職者の多くが「あと3〜5年働いていれば、年金・投資・社会保障の面で圧倒的に有利だった」と後悔。
「経済的に成り立つ」と思っていたプランも、想定外の支出やインフレで苦しくなり、
再就職を検討する人も多数出ています。
2. 後悔しなかった人たちとの決定的な違い
FIREを実現しながらも、後悔を口にしない人たちも存在します。
彼らの体験談や、インタビュー記事、ブログなどを通じて見えてきたのは──
「FIREをゴールではなく、スタートラインと捉えていた」という共通の姿勢でした。
実際にFIREを楽しめている人々の傾向を整理すると、次のような特徴が浮かび上がります。
- 目的設計: FIRE後の活動(旅、創作、教育など)を具体的に描いていた
- 社会接点: 地域活動や趣味・オンラインなどで人との関わりを維持していた
- 資金余裕: FatFIREや副収入を確保し、心理的な不安が少なかった
- 働き方の再定義: 趣味や副業で“働くこと”自体を前向きに捉え直していた
- 家族共有: パートナーや家族と価値観を事前にすり合わせていた
このような“準備されたFIRE”は、単なる「退職」ではなく、 自分で選び取る新しいライフスタイルの始まりとして機能していたのです。
3. FIRE後悔の回避策として「サイドFIRE」という考え方
完全リタイアではなく、「資産収入+自分で選んだ働き方」を組み合わせたサイドFIREという形が、FIRE後の後悔を避けつつ、柔軟な自由を得る方法として注目されています。
- 働く/働かないを選べる
- 孤立せず社会と関われる
- 収入面での不安が緩和される
実際、再就職したFIRE経験者の多くも、フルタイムではなく“サイド的な働き方”に戻っているのが現実です。
4. まとめ:FIREの本質は「辞めること」ではなく「選べること」
FIREに後悔した人たちは、FIREをゴールにしていた。
FIREを楽しめた人たちは、それを新しい人生のスタートととらえていた。
そして、FIREという言葉に惹かれる多くの人が本当に求めているのは、
やりたくない仕事を無理に続けなくていいという、選べる状態。
その選択権を手にするために、FIREはあるのかもしれません。